2世帯の気持ちに寄り添った、個性的な家を
色味も形も異なる、2つの並んだ住宅。道路手前側に立つ親世代の家(白)と奥側に立つ子世代の家(茶)は、ひとつしかなかった家を2世帯住宅に建て替えたものである。それぞれの家の要望に合わせて形にしたことで「和と無垢の木の家」と「グレー調のモダンな家」という内観の個性が、それぞれの家の視線の向きを配慮したことで、外観の形の個性が生まれた。
手前の家(親世代、Oさん)
Oさんは建て替え前の住宅にもあった「南側の大きな開口」と「和の雰囲気」は必ず欲しかったそう。和テイストの素材の使い方を意識し、「和と無垢の素材」をテーマに設計した。
一番力を入れた空間は和室とリビング周辺。和室は大きく開け放すことができ、和室前の縁側とリビングの両方と繋がる大空間にすることができる。ほとんどの部屋に無垢材を使用し、和の雰囲気と調和する素材選びを意識した。
奥の家(子世代、Sさん)
プランが個性的な奥の家。初めは親世帯と子世帯で中庭を共有することを想定しており、2世帯の視線をずらすために「くの字型」を提案した。その後中庭の使い方は変わったがSさんがプランを気に入り、くの字型が残った形となった。
くの字の形により、繋がっているようで分かれている不思議な空間が生まれた。キッチンとリビングは向かい合いこそはしないが、完全に切り離されていることもなく、双方の部屋の雰囲気が伝わるようになっている。
またSさんはSNSを活用し、ストックしたイメージ写真を通じて「こんな雰囲気の家がいい」という提案をしてくれた。その声を元に、内装はオーク材を中心に雰囲気を統一。コンクリートのような落ち着いたグレーが心地いいモダンなテイストとなった。グレーをチョイスしたことによって、汚れやすい水回りにも配慮している。