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東京の木で造る家
2020.06.01
おはようございます、小嶋です。
いよいよ衣替えの季節に入りましたね、自粛期間中あまり外出が出来なかった為、
昨日は、小金井の野川をウォーキングしてきました。
会社から出て少し歩くと野川の側道がありますが、太陽の光を浴びてビタミンDを作ろうと考えたのですが、
曇りがちのお天気で、あまり関係なかったかもしれませんね。
健康を保つためにも、適度の運動をこれからも続けたいと思います。
さて、今回は私達が拘る家造りの一部について、少しお話ししたいと思います。
現在、日本の木造住宅で出回ている構造材の大半は、集成材と人工乾燥(中温/高温)ですが、
弊社は天日干し(天然乾燥)した檜の構造材を、土台と1階部分に採用しています。
まず、何故一階と二階で樹種を分けている理由ですが、バスツアーでも10年近くご説明している、
東京に生息している樹種のバランスを考慮して使用しています。
当然、檜は(D1樹種)木のチャンピオンと言われる程、シロアリにも強度にも、加工精度についても最高の、
建築材ですが、東京には檜より圧倒的に杉が多く、檜ばかり使用すると東京の環境に寄与できない状態を
作ってしまうため、製材業者(沖倉さん/中嶋さん)、林業家(田中さん、青木さん)の仲間と話し合い、私達の家造りの商品の一つとしてルールを決めさせて頂いています。
(鹿児島県にある京都大学シロアリ試験場)
**********以下数年前に記載した内容です*************
現在、市場(多摩木材センター)に出荷されている『多摩産材』は、
平成18年、当時の石原都知事が施工した『花粉対策事業』により、
伐採された木材が大半をしめています。石原都知事が『花粉症』を発症したことにより、
花粉の低減について事業が立ち上がり、その予算に対して伐採が行われた事により、
皆伐が行われ『多摩産材』が市場に多数出荷され、
この事により昨今地元の木を使用しようと叫ばれるようになったのです。
地方では、地元の木で家を造ることなど、極当たり前の事なのですが、
東京都だけはこのような事にはならず、ハウスメーカーの使用する外来材や
地方材により住宅建築が行われるようになりました。
木を伐採する事=罪悪
自らの教育課程においても、木を切る事が自然破壊だと教わり、
伐採し植樹して、100年先の未来に美しい山を残す等教わってこなかったと思いますし、
この業界に入るまではあまり関心はありませんでした。
昔から、地元で育った木は、地元に生息する害虫から身を守る為に進化し生息している事から、
先人達は、それを理解し地元の木で住まいを建築し、
次世代の為に植樹し循環型の社会を形成していました。
これが、平成の世に入り、ハウスメーカーの台頭により破壊され価格競争時代により、
いかに安く、いかに狂わない木材を求める事が主となり、
元来当たり前とされた、住宅の地産池消が姿を消してしまう事になりました。
その結果、50年ぐらい育った地元の木材を放置する事になり、
花粉の飛散を止める事ができない、東京の環境になってしまいました。
そして、戦後の復興により木材は大量消費され、その後植樹された檜や杉が放置され、
外来材や地方材の価格競争に負け、原木の価格の低下を止める事が出来ず、
花粉対策事業等の補助金に頼る状態を招いてしまいました。
東京の木は宝の山!
『ガイアの夜明け』の中で沖倉理事長が発した言葉ですが、
関係者の間では理解しても、一般の方には中々解りづらい言葉となっていますが、
東京の山は素晴らしい木材が沢山眠っていると言う言葉の意味を持っているのです。
戦後、沖倉理事長達の両親や祖父が植樹した木材が沢山あり、
その価値を知らされないまま眠っている。
その価値を理解すればする程、他社の謳う国産材や希少価値の文章が如何に、
販売だけの目的で記載されているかが透けて見え『他社にできない家造り』を
実現する為の一助(木材だけでは無く、耐震性能や断熱性能、
劣化対策等大切な事はまだあるという意味です)とはいえ、
何年掛かっても実現したいと私が心に決めた要因でした。
まだ2つ、TOKYO WOOD普及協会で実現したい事があると前回記載したのは、
本来の地産地消のあり方を実現したいと言う意味で記載しました。
その一つは『市場を通さないで山主さんから原木を購入』し、
『印字に生産者と産地を記載』したいと言う事です。
例えば『TOKYO WOOD~生産地:檜原村時坂~生産者:東京チェンソーズ~』といった感じです。
農産物では、既に当たり前になりつつある
『生産者の顔が見える』という行為を木材で可能にしたい。
できれば原木や山にまだ木材が伐採される前からお客様に見て頂き購入して頂きたい。
この事により、原木価格の下落に歯止めをかけ、購入者にも安心、
安全な良質な木材を購入して頂き、一生快適な住まいに住んで頂きたいと考えています。
製材所との連携に10年の歳月を費やしてしまいましたが、
山主さんとの連携についてはもう少し時間をかけずに実現させていきたいと考えています。
東京チェンソーズとの信頼関係
この試みに欠かせないのが『東京チェンソーズ』の皆さんです。
若くして東京の林業に革命を起こした彼らは、
現在メディアに多数取上げられ注目の的ですが、
彼らを率いている青木社長にも大きな悩みがありました。
購入した山から切り出す原木をどうやって販売していくかという事が、
青木社長の大きな悩みの一つでした。
青木社長とは、9年ぐらい前、ある講演の講師という同じ立場で
お会いした事がありましたが、その時は、挨拶程度しかせず深い話をした事はありませんでした。
その後ふとしたきっかけで、青木社長と色々な意見交換をさせて頂くようになったのは、
『ガイアの夜明け』の撮影中に沖倉理事長から出た『社長、山を買いませんか』という言葉でした。
正直、何度か考えた事はありましたが、購入した後の維持管理を考えると、
今の弊社では難しいかなとあきらめていました。
金額を聞き山に対して本気で挑戦しようとした時、思い出したのが青木社長でした。
名詞を探し直ぐに青木社長に連絡し、お会いして教えて欲しいと尋ねると、
『社長、山を購入するより一緒に美林倶楽部をやりませんか?』と言われ、
正直、電話がよく聞こえず『〇〇クラブですか??』と言ってしまい…
本当に失礼極まりない受け答えをしてしまいました。山の男と仲良くなるには、
飲み会からかなと瞬時に頭を巡らせ??出してしまった言葉に、
今思えば、自分はなんて失礼な事を言ったのかと反省しています。
青木社長が笑いながら『ちがいますよっ(笑)っと笑いながら説明してくれ』…
正直、電話でしたが赤面した事を思い出します。
私達も山を購入したのですが、伐採した後の原木をどう売却するか悩んでいると言われ、
思わず『全部私達に引き受けさせて頂けますか』っと即座に答え、
私達の思いをお伝えいたしました。
そして、青木社長から『社長、その思いがあるなら、私達の山を見てください』と言われ、
私は即答し、翌日には山へ行ってしまいました。次の日、檜原村にある時坂に着くと、
青木社長が直々に出迎えてくれ、じゃいきましょうかと、
私と高井部長は、何処にですかと尋ねると…
この山なんですと、駐車場の目の前にある山を指差してくれました、
『そうですか』と答え、青木社長についていくと、
脇にある獣道(現在、青木社長達が作った林道があります)のような場所に連れて行かれ、
どんどん山へ登っていきました。
山登りなんて、小学校以来、新潟の春日山城跡に登ったのが最後で、
正直甘く見ていましたね、七転八倒とはこの事…意味が違いますかね(笑)
私達は何度も何度も転がり落ち、高井部長と私は遭難寸前でした…
青木社長から、今後『美林倶楽部』がどのようにして活動し、
どういった山にしていきたいのか聞き、
最終的に100年200年永続的に続く循環型の仕組みにしたいと説明を受けました。
あれ、これって私の思いと同じでは…
山を買わなくても、専門家と一緒にやればいいのでは!
急斜面を登り続け、死ぬ思いで頂上付近に到達し、
(大げさかな、でも私や高井部長には心から、無理っと思う程の急斜面でした。)
青木社長の山に対する理想や熱い思いを伺いました。
話も終わり下山できると思いきや、それじゃ私達の事務所に御案内しますと、
更に山の奥へ案内されました。
(後で解りましたが、下山して車で行けば5分で事務所に着くのに(涙))
山道を歩く事30分、ようやく『東京チェンソーズ』の事務所に到着しました。
この時から、私は青木社長のストーカーですね(笑)自分たちの考えを説明し、
なんとしても『TOKYO WOOD普及協会』で一緒にやって欲しいとお願いし続け、
今年の春先、一緒にやって頂ける事になりました。
そして春先に行った『TOKYO WOODバスツアー』で青木社長の山への思いを
参加者の皆様にお伝えして頂きました。
天然乾燥の檜と、葉枯らし乾燥の杉(多摩産材)
東京の木は、6対4で杉と檜が生息しています。
中には他の樹種もありますが構造材に使用する木の割合として前途の割合とさせて頂きます。
長期優良住宅の指定樹種として、一階は檜、二階は杉としているのは
東京の木を上手に循環させる意味が含まれています。
全て檜をしようするとなれば、山には杉だけが残される状態を作る事になり、
建築会社の宣伝の為にどちらか一方を進めれば、山の環境を悪化させる事になってしまいます。
檜については、沖倉理事長と中嶋さんが天然乾燥を実施してくれていますが、
杉に関しても他社に出来ない拘りを持とうと考えていた私に、青木社長から…
『私は杉材を葉枯らし乾燥をしています』 っと説明を受け、
以前から検討していた杉の強度安定と腐食率の低減を可能にする、
一次乾燥工程を採用していると説明を受け、杉の弱点を克服させる、
現在のハウスメーカーを含め建築会社の何処も採用できない拘りなので
即座に採用することに致しました。
この乾燥方法に否定的な意見もありますが、様々な林業家に会い話を聞くほど、
『面倒なのでやらなくなったと』言われる方が大半でした。
地方では、伐採後出荷に日数もあるので寝かせて軽くなるのを待つ間、
一石二鳥と採用しているとの事でしたが、
ほとんどは手間が掛かると採用を止めてしまっている状態でした。
元来、杉の水分を強制的に抜くには高温で行われる人口乾燥が主ですが、
私が檜に対して天然乾燥に拘ると同じように、
初期段階での葉枯らし乾燥が構造体の長持ちに繋がると確信し、
青木社長に全部採用したいとお願いさせて頂きました。
この日を境に、青木社長のできTOKYO WOOD参加により、
私達の理想とする、川上から川下まで全てがつながる、
東京の環境に寄与する資源の循環が良質な家づくりによって出来つつあります。
これからもTOKYO WOOD普及協会は、
材に拘り、東京の山を水源を守る取り組みを皆でこさえていきたいと思います。
7/18に開催するバスツアーにご参加いただき、天然乾燥の東京の檜の香りを、
是非、堪能して頂ければ幸いです。
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